暑くて長い夏が今年もやって来ました。家の南面の窓は強すぎる陽射しを遮るためにカーテンなどで閉じられることが多くなり、せっかくの南向きが残念な状態に。かつて私が建築の勉強をしていた頃は、家は南にひらけることが基本だと教わりました。また北側を大きく開けると、寒くて結露やカビの要因になり得るとも。それから20年以上経った今、こう暑さが厳しいと南向きの家が良いとは一概に言えないのでは?という疑問が沸き上がる。今回は「南向き主義」に大いなる妄想で抗ってみます。
妄想① 北側にひらけた家にする
建築を学んでいたその頃、アトリエなどの部屋は北向きが適している、とも教わりました。入ってくる光の加減が常に一定で、製作活動に影響しにくいため、というのが理由だったと記憶しています。でもこれって、日常生活にも普通に当てはまるのでは?吹き抜けなどのハイサイド窓や天窓だけでなく、一般的な掃き出し窓も北向きに大きく作れば天候に左右されずに一定の明るさをもたらしてくれそう。直射日光ではないので遮る必要もほとんどないはず。また、かつては課題だった室温の低下については、建具の機能が向上してペアガラスやトリプルガラスが普及して窓の断熱性能は大幅にアップ。充分に対応可能ではないでしょうか。もちろん寒さや降雪が厳しい地域など土地によって事情は違ってきますが、大きな窓を北側に配置するのが新常識になる日も近いのでは⁉
妄想② 南面は掃き出し窓をやめ、横長窓にする
夏、窓から強い陽射しが直接部屋に届かないようにするために、高い位置の太陽の光を遮る庇や軒の出を取る。これは日本の昔ながらの手法ですが、厳しい暑さの現代にこそ必要だと感じます。そしてより効果的にするために、床までの窓ではなく腰高さの窓がいい。
さらに冬場にはあたたかな光を多く取り入れたいので、横に長い窓をできるだけ多く取れれば理想です。
「南には庇(軒の出)と横長の窓を、北には大きな窓を」
ただしわが家の工事はとっくに終わっているし、そもそも密集地で日当たり事情も通常とは異なっていて、全く妄想なのですが…。
うちの南面にある大きな窓には縦型ブラインドを設置しました。ルーバーの向きを変えることで直射日光を防ぎつつ明るさを取り入れることができます。最近はレースカーテンに遮熱などの機能が付いたりして、陽射し対策の選択肢も増えていますね。
縦型ブラインド
徒然草には「家づくりは夏をむねとすべし」と書いているそうですが、現代おいて夏を乗り切ることを優先した家づくりの必要性は、兼好法師の時代よりももっと深刻かもしれません。